「祇園の笑門」です。かねてからその雰囲気、その料理を味わってみたかった『京料理 直心房 さいき』。2009年10月に北山より現在の場所に移転されたそうです。以前あった旅館を改装されて現在に至り、何と周囲は四方道に開けたシュチュエーション。素晴らしい開放感と存在感が漂って、外観を見ているだけでもワクワクとさせてくれます。表構えは緑色の清潔な暖簾と左手に上品に控えめに置かれたメニュー表。『お昼のお献立・大徳寺緑高点心 2,800円・松花堂 4,000円・お昼のおまかせ 5,000円から夜のお献立昼のお献立こだわりの一品おまかせ【直】10,000円 ・おまかせ【心】12,000円・おまかせ【房】15,000円から』と外観からの見た目とは良心的な値段設定。益々期待が高まります。今回は30分ほど前に予め電話予約をしての訪問なので安心です。電話応対はご主人の才木さんが応対されて、気持ちの良い電話予約からのスタートとなりました。姿の見えない電話の声、第一声の印象がその店の全てを左右すると言っても過言ではないくらいに大切だと常々思っています。『さいき』での心地良いスタートはここから始まりました。まず暖簾をくぐり玄関の引き戸を引くと、「おいでやす」と心地良い板前さんたちの挨拶。この時点でテンションはさらに高まる。玄関口で靴を脱ぎ、全フローリングの寛げる雰囲気です。まだ改装をされて1年経たないので気持ちの良い木の香り。入って直ぐの右手に透明のガラスで囲まれた清潔そうな厨房が見える。ご主人の才木さんと2人の若い板前さんの仕事場だ。奥へ進むと7席の白木の一枚板のカウンター。このカウンターは椅子に座るタイプで隣との席の間隔も広く、ゆったりと料理が楽しめる(恋人同士なら少し離れ過ぎなくらい)。これだけの余裕のあるカウンター席は希少なくらいあまりお見受けしない。才木さんのお客様を大切にする気持ちが伝わってきました。カウンター席からは正面にご主人が料理の最終的な仕上げをするオープンキッチン。右手に緑色の暖簾を隔てて若い板前さんたちが立ち働くメインの厨房があり気持ちの良い見通しの良さです。カウンター左手には一枚戸の引き戸があり、その引き戸を開けるとさらにもう一つの掘り炬燵のカウンター(5席)がある。左手に坪庭が眺められ、落ち着いたプライベート空間、って感じの雰囲気だ。表のカウンター席の後ろにはさらに広い空間があり、テーブルの椅子席がある。8名は寛げるだろうか、さらにゆったりとした空間。さて、料理ですがお昼だったので「お昼のおまかせ5000円」を予め電話予約で注文しておきました。少し暑い日だったのでご主人に冷たいほうじ茶を供されてまず感激。お昼のおまかせは【前菜】・【向】・【椀】・【蒸し物】・【強肴】・【ご飯・香の物・止め椀】・【水物】の計7品。ご主人のナイスなタイミングの見計らいで一品ずつ供された。最後のデザートを食べ終わっても、その後さり気なくお茶を供してくれたご主人の心配りに感激。ご主人との会話も弾みついつい長居してしまい2時間ほど経過していた。この2時間を短く感じさせてくれるのも才木さんの手腕の一つだと思う。お客に対しては付かず離れず、適度な距離を保ちこちらからの声にはしっかりと答えてくれ。またこれだけのプロの仕事をされているにも関わらず控えめだ。若い板前さんたちへの指導もしっかりとしたものに感じました。2010のミュシュランガイド京都・大阪の取材の時点ではこの祇園下河原には開店していなかったのですが、2011ミシュランガイド京都・大阪・神戸で一つ星を獲得されました。お昼ですが、それほどにCPも高く、オープンキッチンの舞台でご主人と2人の板前さんが繰り広げてくれた2時間ほどの至福のひと時。京料理の文化を感じた『さいき』でした。
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