「あたらし(鴨料理/中央区)」 世間一般では、土用の丑の日に鰻を食べるんだけど、大阪ではアヒルのすき焼きを食べるのが伝統的な習わしなんだということは別のメールで書いた。 と言うことで、メンソールは中央区にあるかも料理専門店の『あたらし』へ。コースメニューとしては鴨鍋、鴨美杉焼、鴨すき焼きがあり、それぞれをメインとしたコース料理もある。伝統に従えばすき焼きをオーダーすべきなんだけど、実はメンソールは、あまりすき焼きが好きではない。なので、シンプルに味わえる美杉焼をオーダーした。信楽焼の瓦の上で鴨肉を焼くもので、瓦の盛り上がった両サイドで肉を焼く。すると脂分が中央の凹んだところにたまるので、そこで、野菜を焼くという感じのもの。山形の鉄板で羊肉を焼いて、周囲の溝にたまる脂で野菜を焼くというジンギスカンと似たような考え方だな。 突き出しは、なすびの煮浸し。これに鴨のミンチを使った田楽味噌が合わせてある。最初の一品としては清涼感も抜群で、肉の方も味噌味なので、あまり鴨肉を意識しなくてもいい。滑り出しとしては好調かもしれん。最初に気に入らなかったところを書いとくと、酒類はもっと充実させてほしい。鴨肉ならワインもそろえておいてほしいと思う。いや、ワインはあるんだけど、ボトル、ハーフボトルかもしれんシミにボトルかもしれんのだけど、1,000円のワインはオーダーしようとは思わん。せめて、グラス1,000円のワインを置いてほしい。日本酒も、もう少し種類があるとうれしい。 二品目が、変わり三種盛りかな。昆布〆にしたもも肉、ゼリー寄せ、ニンニク&醤油を効かせたキモ、どれも酒のアテにぴったりなので、逆に酒類の取りそろえが貧弱なのが惜しい。昆布〆はちょっと〆すぎな様な気がする。 次が造り盛り合わせ。こころ、白キモ、ささみ、ズリの四種類。あじさいの花があしらってあってきれいだ。味の方は、あれ、こんなもんなんかなと言う感じ。 次が椀もので、鴨饅。鴨の饅頭仕立て。続いてが、メインの美杉焼となる。美杉焼の肉は、もも肉とキモ。他は椎茸、人参、コーン、玉葱、もやしなどの野菜類。ちょいと野菜が多すぎるような気がしないでもない。もっと鴨肉を食べたい気もするが…。漬けダレは独特のもので、柑橘系の香りが良く効いている。だからといって、酸味が主張するわけではない。あとは大根おろしのようだけど、大根おろしじゃないと思う。すり下ろし玉葱だとメンソールはにらんでるんだけど、違うかな…。 その後は、赤身を細巻きにした鮓。ええい、巻きずしを作るときは海苔を炙ってパリパリにせんかい。ま、鮨屋じゃないから堅いことは言わんとこ。次が、鴨蕎麦。う~ん、ちょっとダシが弱いかな。ま、蕎麦屋とちゃうから堅いことは言わんとこ。最後が和風のデザート。 帰りには、おみやげを持たせてくれるんだけど、これが鴨の炊き込みご飯。メンソールは一人暮らしなんで、これを持って帰っても食べてくれる人はいないんだけどな。で、ここで鴨料理を堪能したのに、できたら今日中に食べてくださいと言われてもなぁ…。ちょっと困るかな。一人暮らしには行きにくい。あるいは、予約の時点で辞退すべきかな。その分、料理に回してくれとか…。 最後に一言。店には座敷席が三つあるんだけど、一番奥の部屋は子供たちの部屋になってる。夜の営業時間中は、子供たちはその部屋で過ごしてるわけだな。で、テレビを見ながらご飯を食べてたりする。それを見てると、こっちが切なくなってきて、メンソールの相手なんかしとらんと、子供たちの相手をしたってくれ、と女将に言いたくなってくる。ちらり涙が浮かんで食事を味わうどころじゃない。たぶん、ディナータイムではなくてランチタイムが主体の店なんだろうと思う。メンソール以外に客はおらんかったし、ちょいといっぱいと言いつつ鴨鍋を一人でつつくのは辛いもんがあるし、鴨は鶏ほど万人向けの食材じゃないからな。実際のところ、子供たちにとってみれば、夕食時に親が同席しないという状態は否が応でも受け入れなければならないことなので、それほど悲しいとか辛いとか言った感情はないように思う。事実メンソールがそうだったし。強がってたのかもしれないけどね。中崎町商店街にも、子供たちが客席に出てくる店があるけど、そこの子供たちはおおらかだ。個室がないからだと思うけど、テーブル席で宿題してたりするし…。あと、北浜近くにあるモンゴル料理店でも女の子が出てくるけど、可愛いんだな。 このあたりは、賛否両論があると思う。家族でやってるような店で、小学生くらいの子供たちが料理運びとか手伝ってる店も知ってる。それに対して文句はない。でも、手伝うでもなくうろうろされるのはなぁ…、と思う。でもなぁ…。これは本当に難しい。でも、客の立場からすると、食事をする気を失ってしまうと言うこともあり得る。そうなると二度とその客は来ないだろう。難しい。
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