「かわむら(東天満)」 天満にある隠れ家的居酒屋。カウンター7席のみなんだけど、テーブルを置く余裕は十分にある。なのに、カウンターのみにこだわっている店。テーブルがないわけではないので、ランチタイムにはテーブルを使うのかもしれないが…。 以前から一度行ってみたいと思っていたので、ちょっと遅い目立ったけど、近くまで行って、電話で席があることを確認して飛込んだ。メニューは日替わりで、基本的にはおまかせのコース(5,000円)のみと聞いていたのでそのつもりだったんだけど、最近お手軽プランのプチ・コース(3,000円)ができたそうなので、そちらをオーダーした。実は既に食事は済ませていたので…。別途、魚河岸で買い付けた食材だけを書いたメニューはあるので、そちらから一品をオーダーすることも可能らしい。もちろん、調理方法は相談して決めることになる。 さてお気軽コースの一品目は、自家製豆腐に豆乳&湯葉ソースをかけ、淡路産のウニに山葵が乗せてある。豆腐といえば、胡麻豆腐、あるいは胡麻ソースがけが右へならえ状態というか、どこに行っても同じような物が出てくるのでちょっと食傷気味なところがあったんだけど、豆乳&湯葉ソースはそういった意味でも新鮮だった。しかも豆腐に豆乳&湯葉だから、原料が全部大豆なんだ。だから、相性も抜群で、どこから湯葉&豆乳ソースでどこからが豆腐なのかが口の中で渾然一体となってしまって判らないくらい。 二皿目場姫豚の冷製しゃぶしゃぶ仕立てのサラダ。挽きたてのペッパーが数種類。仕上げにはオリーブオイルを廻しがけているので、ある意味和食の領域は超えているような気がしない。ペッパーや塩などについてもかなりこだわりがあるように見受けられる。 三皿目がカツオの造り。メニューにはカツオのたたきと書いてあったんだけど、「造りでも行けますよ」との一言で、造にしてもらった。四皿目が、先のカツオの皮だけを炙ったものとすくい身(中落ち)をアルゼンチン・ペッパーで仕上げたもの。酒の肴としては十分すぎる。 日本酒の方は、吟醸酒よりは純米酒が好みということだけを伝えて、おまかせした。一杯目は冷やで飲んだけど、二杯目以降は燗をお願いした。 五皿目が稚鮎の天ぷらで、六皿目が的矢の岩牡蠣。岩牡蠣というと日本海というイメージがあるんだけど、これは的矢の岩牡蠣が築地方面に流れてしまって関西ではほとんど入手できないためらしい。岩牡蠣は、初めて食べたときにものすごく感動して、それ以来なぜか感動できる岩牡蠣に出会うことがなかったんだけど、久しぶりにセクシーな岩牡蠣に出会った気がする。身は詰まっていて、食感がつるつるで、噛みしめるたびに濃厚な柿の味と磯の香りが広がり、立ち上る。 七皿目がホタテ貝柱とズッキーニの炙り。八皿目が、本来はうざくだったんだけど、鰻が品切れとなったので白身魚の薄造りとなった。添えられているのは肝。メンソールの最後は、梅酒で〆。 カウンター7席は、たぶん大将が一人で対応できる限界に近いんじゃないかと思う。なので、料理の提供は若干遅れる場合がある。メンソールみたいに、料理が出た瞬間に皿をからにし、酒が出た瞬間に器を空にするといったような食べ方、飲み方をする場合には辛いところがあると思うけど、ゆったりとまったりと、日本酒を楽しみ、語り、珠玉の時間を過ごすには最適な店だと思う。なので、一人で行っても楽しいけど、日本酒好きのパートナーと二人で行くのがいいだろうな。 料理の方も、一品で頼むよりはコースで頼んだ方が良いと思う。一品メニューから選ぶなら、お気軽コースに加えて食べたいものを追加的にオーダーしておくといった感じの方が良いと思う。料理を任せ、酒を任せ、亭主の心遣いをも楽しみに行く店だと思う。 狭い店なので、予約はした方が良い。それから4人以上の予約は取ってくれない場合があるので、少人数で行った方が良い。
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